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ブルゴーニュ ピノ・ノワールおすすめワイン8選【ソムリエが格付け・産地・ニュージーランドとの違いを完全解説】

この記事でわかること

  • ブルゴーニュ ピノ・ノワールの格付け制度(グランクリュ・プルミエクリュ・ヴィラージュ・レジョナル)が一目でわかる
  • コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌの違いを比較表で解説
  • ニュージーランドPNとブルゴーニュの決定的な違い
  • ソムリエが選ぶおすすめ8本(価格帯別・初心者から愛好家まで)

ブルゴーニュは、ピノ・ノワールの聖地と呼ばれるフランス東部の銘醸地です。ニュージーランドやカリフォルニアで最高のピノ・ノワールが生まれる現代でも、本家ブルゴーニュの複雑さは今なお唯一無二の境地にあります。

150回以上のワイン会を主宰してきた私がブルゴーニュのヴィラージュ・ワインに初めて出会ったのは、30代のころです。ニュージーランドのピノ・ノワールに感動してワインの世界に入った私にとって、ブルゴーニュは「本家はどこが違うのか」という問いそのものでした。そして、ジュヴレ・シャンベルタン村名ワインを口に含んだとき、単なる赤い果実の香りを超えた「大地の複雑さ」を初めて体感しました。

この記事では、ブルゴーニュ ピノ・ノワールの産地・格付け・ニュージーランドPNとの違いを解説し、ソムリエ目線でおすすめ8本を厳選します。初めての一本を選ぶ方から、格付けの上を目指す愛好家まで、ぜひ参考にしてください。


  1. ブルゴーニュ ピノ・ノワールとは?世界最高の産地が持つ条件
  2. ブルゴーニュの歴史【修道士が12世紀に発見した「テロワール」という思想】
  3. ブルゴーニュの格付け制度【4段階の全体像をソムリエが解説】
  4. コート・ド・ニュイ vs コート・ド・ボーヌ【産地別の違いと特徴】
  5. ブルゴーニュ PN vs ニュージーランドPN【本家と新世界の違いをソムリエが解説】
  6. ブルゴーニュ ピノ・ノワールおすすめ8選【格付け別・ソムリエ厳選】
    1. 1. ルイ・ジャド ブルゴーニュ ピノ・ノワール【入門の定番・コスパ最強】
    2. 2. メゾン・ジョゼフ・ドルーアン ブルゴーニュ ラフォレ【エレガントさで選ぶ2本目】
    3. 3. ブシャール・ペール・エ・フィス ブルゴーニュ コート・ドール ルージュ【一段上のコート・ドールを体験】
    4. 4. ルイ・ラトゥール ニュイ・サン・ジョルジュ【コート・ド・ニュイの個性をヴィラージュで】
    5. 5. メゾン・ジョゼフ・ドルーアン シャンボール・ミュジニー【ブルゴーニュで最もエレガントな村名】
    6. 6. メゾン・ファヴレー ジュヴレ・シャンベルタン【コート・ド・ニュイの王者をヴィラージュで】
    7. 7. メゾン・ファヴレー クロ・ド・ヴージョ グラン・クリュ【修道士が築いた特級畑を体験する】
    8. 8. メゾン・ルイ・ラトゥール ロマネ・サン・ヴィヴァン グラン・クリュ【ブルゴーニュ最高峰を体験する】
  7. ブルゴーニュ ピノ・ノワールの選び方【格付け別・予算別ガイド】
  8. ペアリング【ブルゴーニュ ピノ・ノワールに合う料理早見表】
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ

ブルゴーニュ ピノ・ノワールとは?世界最高の産地が持つ条件

ブルゴーニュは、フランス東部のブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏に位置する産地です。ピノ・ノワールの栽培に最適な冷涼な気候と石灰質・泥灰土の土壌を持ち、「ピノ・ノワールの聖地」と世界中から称されています。

ブルゴーニュの最大の特徴は、「クリマ」と呼ばれる区画単位のテロワール管理です。隣り合う畑でも、土壌・傾斜・日照・水はけのわずかな違いがまったく異なる味わいのワインを生みます。2015年、このクリマの概念がユネスコ世界遺産に登録されました。

ブルゴーニュ ピノ・ノワール 産地概況(2022年データ)

項目 数値・詳細
生産地 フランス・ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏
赤ワイン主要品種 ピノ・ノワール(一部ガメイ)
総栽培面積 約29,067ha
うちコート・ド・ニュイ(95%がPN) 約3,000ha
グランクリュ数 33(うち赤ワイン系24)
プルミエクリュ数 562
世界遺産登録年 2015年(クリマ・ブルゴーニュ)
赤ワイン生産比率 全体の約29%(BIVB公式データ)

コート・ド・ニュイは約3,000haの栽培面積のうち95%がピノ・ノワールで占められており、世界最高峰のPNが集中しています。グランクリュ33区画のうち赤ワイン系は24区画。どれも年間生産量が数千〜数万本という希少な畑ばかりです。

参考リンク:ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)公式サイト


ブルゴーニュの歴史【修道士が12世紀に発見した「テロワール」という思想】

ブルゴーニュのピノ・ノワールの歴史は、宗教と農業が一体となった中世の修道士たちの物語から始まります。

ブルゴーニュ歴史年表

出来事
1098年 モレームのロベール院長が「シトー会」を設立。厳格な労働による修道を掲げ、ブドウ栽培・ワイン造りを神への奉仕と位置づける
1110年頃 シトー修道院がヴージョ村周辺でブドウ栽培を開始。畑を丁寧に耕しながら「区画ごとに異なる香りのワインができる」ことを発見
14世紀前半 シトー会修道士が畑を石の塀(クロ)で囲いクロ・ド・ヴージョを完成。「石垣の内側と外側でまったく異なるワインになる」という区画管理の概念が確立
1789年 フランス革命でシトー会が解散。クロ・ド・ヴージョを含む畑がナポレオンの均等相続制により細分化・競売にかかる
1935年 フランスAOC制度(原産地呼称統制)発足。クリマ(区画)ごとの品質格差を法律で定義し、グランクリュ・プルミエクリュ・ヴィラージュ・レジョナルの4段階が整備される
2015年 ブルゴーニュのクリマがユネスコ世界遺産に登録。「千年以上にわたる人間と土地の関係」が評価される

最も重要な転換点は14世紀のクロ・ド・ヴージョ完成です。シトー会の修道士たちはヴージョ村の畑を石の塀で囲むことで、「この石垣の内側の土地は別物だ」という宣言を具体的な形で残しました。何百年もかけて一区画ずつ土を舐め、風の向きを確認し、水の流れを見極めた末の決断でした。

私がワイン会でこの話をすると、「なぜ同じブルゴーニュで価格が10倍も違うのか」という疑問が解決する参加者が増えます。修道士が積み上げた「この畑はここが違う」という知識の蓄積が、現代のグランクリュ・プルミエクリュの差につながっているからです。

1789年のフランス革命後、クロ・ド・ヴージョは没収・競売にかけられ、現在は80名以上の栽培者・生産者が分割所有しています。ひとつの特級畑に80名以上というのは世界でも類を見ない複雑さですが、これもブルゴーニュの歴史の産物です。

参考リンク:クロ・ド・ヴージョとは(エノテカ)


ブルゴーニュの格付け制度【4段階の全体像をソムリエが解説】

ブルゴーニュの格付けは、フランスAOC制度に基づいてピラミッド状の4段階に整理されています。

ブルゴーニュ 格付けピラミッド

格付け AOC数 生産比率 価格帯目安 特徴
グランクリュ(特級畑) 33(赤系24) 約1% 10,000〜100万円以上 畑名がラベルに。世界最高品質
プルミエクリュ(一級畑) 562 約11% 5,000〜100,000円 「1er Cru」表示。村名+畑名
ヴィラージュ(村名ワイン) 44村 約36% 3,000〜50,000円 村名のみ。村ごとの個性が楽しめる
レジョナル(地域名ワイン) 23 約52% 1,500〜8,000円 「ブルゴーニュ」等の地域名。入門に最適

最大のポイントは、格付けが生産者ではなく「畑」に対してつけられていることです。ボルドーのようにシャトー(生産者)に格付けをつけるのではなく、ブルゴーニュでは特定の区画(クリマ)そのものが格付けを持っています。だから同じグランクリュ「クロ・ド・ヴージョ」でも、造り手が80名以上いる——という状態が生まれます。

格付けが上がるほど生産量が少なく価格が高くなります。ただし「上の格付けが必ずうまい」とは限りません。同じグランクリュの畑を持っていても、醸造家の技術や哲学次第で大きな差が出るのがブルゴーニュの奥深さです。


コート・ド・ニュイ vs コート・ド・ボーヌ【産地別の違いと特徴】

ブルゴーニュの中心地「コート・ドール(黄金の丘)」は、北のコート・ド・ニュイと南のコート・ド・ボーヌに分かれます。

コート・ドール 産地比較表

比較項目 コート・ド・ニュイ コート・ド・ボーヌ
位置 ディジョン南〜ニュイ・サン・ジョルジュ ボーヌ〜サントネイ
面積 約3,000ha 約5,000ha
主要品種 ピノ・ノワール(95%) ピノ・ノワール+シャルドネ
スタイル 力強い・長期熟成向き・複雑 エレガント・早飲みしやすい
グランクリュ(赤) 24区画(ほぼ全て) コルトンのみ(赤のGC)
代表村 ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニー、ヴォーヌ・ロマネ ポマール、ヴォルネイ
価格傾向 全体的に高め コードニュイより手頃

コート・ド・ニュイの村々からは、ブルゴーニュを代表する偉大なワインが生まれます。ロマネ・コンティ、シャンベルタン、クロ・ド・ヴージョ——いずれもコート・ド・ニュイです。一方、コート・ド・ボーヌはシャルドネの白ワイン(ムルソー、シャサーニュ・モンラッシェ等)で知られ、赤ワインではポマールとヴォルネイが特に評価されています。

私のワイン会では、コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌを同価格帯で飲み比べる企画を実施したことがあります。20名中12名が「コートドニュイの方が複雑で奥深い」と評価し、8名は「コートドボーヌの方がシルキーで優雅」と答えました。どちらが良いかは好み次第ですが、初めてブルゴーニュを飲むなら、個性がはっきりと出るコート・ド・ニュイのヴィラージュから入ることをおすすめします。

関連記事:ジュヴレ・シャンベルタンおすすめ8選シャンボール・ミュジニーおすすめ8選


ブルゴーニュ PN vs ニュージーランドPN【本家と新世界の違いをソムリエが解説】

ニュージーランドのセントラル・オタゴやマールボロのピノ・ノワールは、世界的に高い評価を得るようになりました。「新世界のPNは本家ブルゴーニュを超えたのか?」——ワイン会で頻繁に出る質問です。

ブルゴーニュ PN vs ニュージーランドPN 比較表

比較項目 ブルゴーニュ(コートドニュイ) ニュージーランド(セントラルオタゴ)
気候 冷涼な大陸性気候(内陸) 大陸性気候(南アルプスが海洋気候をブロック)
土壌 石灰質・泥灰土(古代海底堆積層) 氷河性ローム・砂礫
果実のスタイル 繊細・スパイシー・腐葉土・動物的ニュアンス 豊か・凝縮・赤い果実感が鮮明
熟成ポテンシャル グランクリュで20〜50年以上 5〜15年が中心
アルコール度 12〜13.5% 13.5〜14.5%
「テロワール」の深さ 千年の歴史が蓄積(世界遺産) 近代元年1987年(約40年の歴史)
価格帯(入門) 3,000〜5,000円 2,000〜5,000円
価格帯(最高峰) 100万円以上(DRC) 15,000〜25,000円

私のワイン会でブルゴーニュのヴィラージュとニュージーランドのセントラル・オタゴPNを並べたブラインドテイスティングを実施しました。20名中15名がどちらがブルゴーニュ本家か正解しましたが、残り5名はNZを本家と誤答しました。「NZのPNがそこまでブルゴーニュに近づいているのか」と驚いた参加者が多く、現代のNZワインの品質の高さを実感する機会になりました。

しかし、ブルゴーニュのグランクリュを飲んだ参加者全員が感じたのは「比べるものが違う」という感覚でした。ブルゴーニュの最高峰は、果実の豊かさではなく「大地の多層的な複雑さ」で勝負しています。赤い果実・腐葉土・スパイス・動物的ニュアンス・ミネラルが幾重にも重なる体験は、千年のクリマ管理の歴史なしには生まれません。

関連記事:ニュージーランドワイン赤おすすめ8選


ブルゴーニュ ピノ・ノワールおすすめ8選【格付け別・ソムリエ厳選】

150回以上のワイン会で実際に提供し、参加者から好評を得た8本を格付け別にご紹介します。

おすすめ8本 比較表

# ワイン名 生産者 格付け 価格帯 こんな人に
1 ブルゴーニュ ピノ・ノワール ルイ・ジャド レジョナル 3,300〜3,800円 初めての一本
2 ブルゴーニュ ラフォレ メゾン・ジョゼフ・ドルーアン レジョナル 3,500〜4,500円 2本目・エレガント系
3 ブルゴーニュ コート・ドール ルージュ ブシャール・ペール・エ・フィス コートドール 5,000〜7,000円 一段上を試したい
4 ニュイ・サン・ジョルジュ ルイ・ラトゥール ヴィラージュ 11,000〜14,000円 コートドニュイの個性を
5 シャンボール・ミュジニー メゾン・ジョゼフ・ドルーアン ヴィラージュ 15,000〜20,000円 最もエレガントな村名を
6 ジュヴレ・シャンベルタン メゾン・ファヴレー ヴィラージュ 12,000〜16,000円 力強いコートドニュイを
7 クロ・ド・ヴージョ グラン・クリュ メゾン・ファヴレー グランクリュ 25,000〜35,000円 特級畑の入門に
8 ロマネ・サン・ヴィヴァン グラン・クリュ メゾン・ルイ・ラトゥール グランクリュ 60,000〜100,000円以上 ブルゴーニュ最高峰を

1. ルイ・ジャド ブルゴーニュ ピノ・ノワール【入門の定番・コスパ最強】

ブルゴーニュ入門として世界中で飲まれている定番中の定番です。1859年創業のルイ・ジャドは、ブルゴーニュを代表するネゴシアン(ワイン商)のひとつ。コート・ドールのブドウを厳選してブレンドしたこのレジョナルは、「まず一本だけブルゴーニュを飲みたい」という方に迷わずすすめられる品質と価格帯です。

チェリー・ラズベリーの赤い果実の香りに、ほんのりスパイスと腐葉土のニュアンス。タンニンは控えめでなめらかな口当たり。ブルゴーニュのPNがなぜ世界中で愛されるのかが、3,000円台で体感できます。

2. メゾン・ジョゼフ・ドルーアン ブルゴーニュ ラフォレ【エレガントさで選ぶ2本目】

「ラフォレ(La Forêt:森)」の名が示す通り、ブルゴーニュらしい複雑さと上品さが同価格帯で楽しめます。1880年ボーヌ創業のドルーアンは、家族経営を5世代にわたって続ける名門ネゴシアン。「エレガンス」を家訓に掲げ、ブルゴーニュの個性を過剰に押しつけない繊細なスタイルを貫いています。

ルイ・ジャドより酸味が前面に出て、赤い果実にスパイスと土のニュアンスが複雑に絡み合います。ワイン会でルイ・ジャドと飲み比べると、「ドルーアンの方が骨格がしっかりしている」という声が多く出ます。

3. ブシャール・ペール・エ・フィス ブルゴーニュ コート・ドール ルージュ【一段上のコート・ドールを体験】

コート・ドール(黄金の丘)のブドウのみを使った、ワンランク上のレジョナルです。1731年創業という長い歴史を持つブシャールは、コート・ドールに130ha以上の自社畑を所有するブルゴーニュ有数の大生産者。その恵まれた自社畑から選り抜かれたブドウがこのキュヴェに使われます。

通常のブルゴーニュ・レジョナルより土壌の複雑さが出やすく、タンニンにも少し骨格があります。「ブルゴーニュの村名ワインに行く前の踊り場」として絶妙な位置づけです。

4. ルイ・ラトゥール ニュイ・サン・ジョルジュ【コート・ド・ニュイの個性をヴィラージュで】

コート・ド・ニュイの南端に位置するニュイ・サン・ジョルジュは、ジュヴレやシャンボールに比べて知名度は低いですが、価格の割にクオリティが高いことで愛好家に知られる穴場産地です。ルイ・ラトゥールは1797年創業の老舗ネゴシアンで、コート・ドールに自社畑を多く持ち、安定した品質を供給しています。

スパイス・タール・ブラックチェリーの香り。タンニンがしっかりしており、ボディが充実しています。「コート・ド・ニュイらしい力強さを初めて実感した」という感想をワイン会でよく聞きます。

5. メゾン・ジョゼフ・ドルーアン シャンボール・ミュジニー【ブルゴーニュで最もエレガントな村名】

「シャンボール・ミュジニーはブルゴーニュで最も女性的な産地だ」とワイン通の間で語り継がれています。ドルーアンが造るシャンボールは、その村の個性——バラ・スミレの花の香りとシルキーなタンニン——を丁寧に体現しています。

グランクリュ「ミュジニー」「ボンヌ・マール」を抱えるこの村は価格は高くなりますが、それだけの価値があります。「ブルゴーニュはなぜ高いのか」という答えが、この一本で見えてくるでしょう。

6. メゾン・ファヴレー ジュヴレ・シャンベルタン【コート・ド・ニュイの王者をヴィラージュで】

「シャンベルタン」の名を持つグランクリュを9本も抱えるジュヴレ・シャンベルタン村は、コート・ド・ニュイの中でも特に格式が高い産地です。ファヴレーはディジョンに本拠を置く名門ネゴシアンで、特にジュヴレとニュイ・サン・ジョルジュで傑出した品質で知られます。

力強いタンニン・スパイス・タール・ブラックチェリーの複雑な香り。15〜18℃で提供し、デカンタに1〜2時間置くと本来の複雑さが開きます。「これがブルゴーニュの骨格なのか」と初めて実感できる一本です。

7. メゾン・ファヴレー クロ・ド・ヴージョ グラン・クリュ【修道士が築いた特級畑を体験する】

ブルゴーニュの中でも最も歴史的に有名なグランクリュのひとつです。シトー会修道士が12世紀から管理し、石の塀(クロ)で囲った50ha超の特級畑。ファヴレーはクロ・ド・ヴージョの中でも特に好区画を所有し、格付けに見合うクオリティを実現しています。

スパイス・土・腐葉土・チェリー・タールが幾重にも重なる複雑な香り。タンニンは豊かですが緻密で、熟成によって驚くほど深みが増します。「石垣の内側の土地とはこういう意味か」と、修道士が築いた歴史を舌で感じる体験です。

8. メゾン・ルイ・ラトゥール ロマネ・サン・ヴィヴァン グラン・クリュ【ブルゴーニュ最高峰を体験する】

ヴォーヌ・ロマネ村のグランクリュ「ロマネ・サン・ヴィヴァン」は、DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)も所有する最高峰の特級畑です。DRCのロマネ・コンティは入手困難かつ100万円超ですが、ルイ・ラトゥールが同グランクリュの区画から造るワインなら、60,000〜100,000円台で「ロマネ・サン・ヴィヴァン」を体験できます。

ローズヒップ・スパイス・腐葉土・トリュフが複雑に絡み合う多層的な香り。シルキーなタンニンと長い余韻が、他のどのワインとも異なる唯一の体験をもたらします。「一度は飲んでみたかった」という念願が、DRCの十分の一以下の価格で叶えられます。

参考リンク:エノテカ ブルゴーニュ ピノ・ノワール一覧



ブルゴーニュ ピノ・ノワールの選び方【格付け別・予算別ガイド】

選び方早見表

目的・予算 おすすめの選択 価格目安
初めてのブルゴーニュPN ルイ・ジャド ブルゴーニュ PN 3,300〜3,800円
2本目・一段上 ドルーアン ラフォレ / ブシャール コートドール 3,500〜7,000円
初のヴィラージュ ジュヴレ・シャンベルタン or シャンボール・ミュジニー 12,000〜20,000円
グランクリュ入門 ファヴレー クロ・ド・ヴージョ 25,000〜35,000円
ブルゴーニュ最高峰 ルイ・ラトゥール ロマネ・サン・ヴィヴァン 60,000〜100,000円以上
ギフト・記念日 ドルーアン シャンボール・ミュジニー 15,000〜20,000円

ヴィンテージ選びのポイント: ブルゴーニュは年によって品質差が大きい産地です。2010年・2015年・2019年・2023年は特に評価の高いヴィンテージで長期熟成向き。2017年・2018年・2021年は比較的飲みやすく、若いうちでも楽しめます。

初心者へのアドバイスとして、まずレジョナル(3,000〜4,000円台)から入り、「ブルゴーニュのPNはこういう味か」という基準を作ってください。その基準ができたうえで、ヴィラージュ・プルミエクリュ・グランクリュと格付けを上げると、各段階の違いが明確に感じられます。

関連記事:ピノ・ノワールおすすめ産地別ガイド


ペアリング【ブルゴーニュ ピノ・ノワールに合う料理早見表】

ブルゴーニュのピノ・ノワールは、タンニンが穏やかで繊細な酸味が持ち味のため、淡白な食材から旨味の強い食材まで幅広く対応します。

ペアリング早見表

料理 相性 ポイント
鴨肉のロースト 脂とPNの果実感が融合。ブルゴーニュの古典
鱧の落とし 繊細な白身の旨味と軽やかな酸が調和
きのこのリゾット 土のニュアンスが共鳴。ブルゴーニュ伝統の組み合わせ
ブッフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み) 郷土料理との最強ペアリング
エポワスチーズ ブルゴーニュ産洗皮チーズとの郷土マリアージュ
牛フィレ肉のポワレ 上品な牛肉にタンニンが寄り添う
焼き鳥(塩) 軽めのPNと鶏の旨味がマッチ
刺身(まぐろ赤身) 赤身ならPNの軽い版で試す価値あり

特に印象的だったのは、鱧の落としとブルゴーニュのヴィラージュPNの組み合わせです。ワイン会で試したところ、20名中16名が「日本料理でこれほどブルゴーニュが合うとは思わなかった」と驚きました。鱧の淡白な白身の旨味と、ブルゴーニュPNの繊細な赤い果実の香り・軽めのタンニンがお互いを引き立て合います。

きのこのリゾット(特にトリュフ入り)との組み合わせも定番です。ブルゴーニュのPNが持つ「腐葉土・土のニュアンス」がトリュフの複雑な香りと完全に共鳴します。「ワインと料理が別々に存在するのではなく、一体になっている」という感覚を最も強く感じられるペアリングのひとつです。

提供温度は14〜16℃が最適。グランクリュや長期熟成のものはデカンタ(30〜60分)がおすすめです。若いヴィンテージのレジョナルは少し冷やした14℃前後で提供すると果実感が生きます。

参考リンク:ルイ・ジャド公式サイト


よくある質問(FAQ)

Q1. ブルゴーニュ ピノ・ノワールはなぜ高いのですか?

主な理由は3つです。①生産量が非常に少ない(グランクリュ全体でも全体の1%)、②ピノ・ノワールは栽培が難しく病気にかかりやすく収量も少ない、③千年以上にわたるクリマ管理の歴史と2015年のユネスコ世界遺産登録による希少価値——この3つが重なるため、優良なヴィラージュでも10,000円以上が普通になります。

Q2. ブルゴーニュ ピノ・ノワールとニュージーランドPNはどちらがおすすめですか?

「どちらが良い」ではなく「何を楽しみたいか」で選ぶのが正解です。NZのPNは豊かな果実味と現代的な口当たりで価格帯も比較的手頃。ブルゴーニュのPNは千年の歴史が生む複雑さが最大の魅力で、同価格帯ならNZより高い傾向があります。初心者にはNZから入り、ブルゴーニュで本家の複雑さに挑戦するルートをおすすめします。

Q3. グランクリュとプルミエクリュの違いは何ですか?

ブルゴーニュの格付けでは、グランクリュ(特級畑)が最高位で33区画のみ。プルミエクリュ(一級畑)は562区画あります。ラベルにはグランクリュは畑名だけ(例:「Chambertin」)、プルミエクリュは村名+畑名(例:「Gevrey-Chambertin 1er Cru」)が表示されます。価格差は2〜5倍になることもあります。

Q4. ブルゴーニュ ピノ・ノワールの飲み頃はいつですか?

レジョナルは購入後2〜3年以内が最も果実感豊か。ヴィラージュは3〜8年で複雑さが増します。プルミエクリュは5〜10年、グランクリュは10〜20年以上が理想の飲み頃です。良ヴィンテージ(2010年・2015年等)のグランクリュは30年以上の熟成ポテンシャルを持ちます。

Q5. コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌのどちらを選べばいいですか?

力強い・タンニンが豊か・複雑さを求めるならコート・ド・ニュイ(ジュヴレ・シャンベルタン、ヴォーヌ・ロマネなど)。繊細・エレガント・早飲みしやすいスタイルを好むならコート・ド・ボーヌ(ポマール、ヴォルネイなど)をおすすめします。初めてのヴィラージュなら、個性がはっきりとわかるコート・ド・ニュイから入ることをおすすめします。

Q6. ブルゴーニュ ピノ・ノワールに合う料理を教えてください。

鴨のロースト・ブッフ・ブルギニョン(ブルゴーニュ風牛肉煮込み)・きのこのリゾット・エポワスチーズが定番ペアリングです。意外なところでは、鱧の落とし・焼き鳥(塩)・まぐろの赤身など繊細な旨味の和食とも相性がよいです。白身の魚料理や濃いソースの料理は避けた方が無難です。


まとめ

ブルゴーニュ ピノ・ノワールは、千年以上の歴史と修道士たちが蓄積した「クリマ」の知恵が生み出す世界最高峰のワインです。

初めての一本: ルイ・ジャド ブルゴーニュ PN(3,300〜3,800円)

2本目・一段上: ドルーアン ラフォレ / ブシャール コートドール(3,500〜7,000円)

初のヴィラージュ: シャンボール・ミュジニー or ジュヴレ・シャンベルタン(12,000〜20,000円)

グランクリュ体験: ファヴレー クロ・ド・ヴージョ(25,000〜35,000円)

ニュージーランドのPNが世界基準に達した現代でも、ブルゴーニュが「本家」たるゆえんは「千年のテロワールが生む複雑さ」にあります。1098年にシトー会が設立され、修道士が土を舐めて区画を決め、石の塀を積み上げた歴史が、今日のグランクリュの一本に詰まっています。ぜひ一度、その歴史の味わいを体験してみてください。


*著者情報: 平田年史(ソムリエ・150回以上のワイン会を主宰)*

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